2008/07/10

X Power Tools

最近は Linuxデスクトップ環境 も成熟してきて、中身を基本的に意識しなくてもディストリビュータのお仕着せで大抵のことはできる時代になった。ただそれでも、システムアドミニストレータは勿論、組み込みでXを扱わなければならない場合、ある程度下回りの概要やアーキテクチャ、設定を知っていた方が圧倒的に有利であることは間違いない。

ただ、そういった下回りのコマンドや設定、背景知識等についてある程度「体系的に」網羅したものは殆ど皆無に近かったのではないか。Xが起動しなくて困っても、ハードウェアを元にドライバを把握して適当に設定を弄っていただけの自分にとって、この不満は非常に根強いものがあった。

個々のコマンドやそれなりの標準的な記述は勿論 freedesktop.orgx.org にあるのだけれども、それが「体系的」で満足のいくものだったのかというと、俺にとってはそうではなかった。

上記の X Power Tools はこの不満を解消するに十分な書籍である。2007年12月刊行されたこの本は xorg に移行した後の本ということもあって、それに追随した記述もなされているばかりか、ディスプレイや Xの基本的な下回りの動き、低レベルのコマンドや設定、ネットワーク透過であることを生かしたTipsまで幅広い内容が盛り込まれている。

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但し、注意すべきことがある。この本は、オライリーから刊行されている いわゆる「HACKS」シリーズ ではない。よって単なるTips集を期待するととんでもない目に逢うだろう。あくまで高度なシステムアドミニストレータ向けの本として理解すべきである。

また、この本は特定のディストリビューションやOSの環境を前提として解説されていない。そのため、ディストリビューションの設定によっては、本の記述通りにコマンドが動かない場合もあることに留意すべきである。その場合は、環境を見ながら適度に読み替えることが必要だろう。

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